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クラクフ旅日記:2013年7月21日

 クラクフへ来て、一つ些細なことが心配だった。それは朝食のコーヒーのこと。前回来たときに泊まったホテルの朝食のコーヒーが、代用コーヒーか何かのような薄い、妙な味──ポーランドでいうKawaの多くはそうだと後で友人から聞いた──で参ったので、今回の宿はどうだろうと気をもんでいたのだ。幸い今日の朝食のコーヒーは許容できる味だった。旧市街の中心にあるので、観光客に配慮したのだろうか。しかし、コーヒーメーカーの隣に、インスタントコーヒーの瓶が意味ありげに置いてあるのはどういうことか。それ以外に朝食に出ているものはまあまあの味。4日食べるとおそらく飽きるだろうが。
 朝食後、アウシュヴィッツを再訪しようと宿を出て中央駅のバスターミナルへ向かう。よく晴れていて、青空に映える古い建物と緑が本当に美しい。とくにフロリアンスカ門のあたりは美しかった。中央市場のあたりでは、花の市が立ち始めていた。そういう時期なのだろうか。やはりところどころにパン売りの店が出ている。
 バスターミナルに着くと、幸い10分くらい後にアウシュヴィッツ博物館のあるオシフィエンチムへ向かうバスを見つけられた。マイクロバスのようなバスで、すでにほとんど満員。ほとんどがアウシュヴィッツへ向かう客のようだ。そのバスに1時間半ほど揺られて行ったわけだが、その間ポーランドのポップスをかなりの大音量で聴かされたのには参った。宿にヘッドフォンを忘れてきたのは失敗だった。
 アウシュヴィッツ博物館では、今回も英語のツアーに参加した。しばらく外で待っていたら、年配の女性のガイドが出てきて、音声機器の説明の後、博物館のなかへ導いてくれた。展示を見るのは今回が二度目なので、前回ほどの衝撃は受けなかったが、ガス室で殺された人々からゾンダーコマンドによって切り取られた膨大な毛髪など、やはり見るのが辛くなる。しかし、それを人が人に強いて行なったことを見据え続けなければならないと思う。アウシュヴィッツ博物館のなかでは、それ以外にはやはり監獄バラックとそれに隣接する「死の壁」、そしてガス室が、何度見ても衝撃的だ。
 アウシュヴィッツの博物館で、今回も非常に印象的だったのは、国家資格を持ったガイドが非常に訓練されていること。今回も英語のツアーのグループの参加者は相当な人数だったが、人混みを避けてうまく誘導し、展示に関して要を得た、かつ内容の深い説明をしてくれるのには、感動すら覚える。アウシュヴィッツに続いて訪れた広大なビルケナウでは、前回見ることのできなかったガス室の廃墟も見ることができた。最後に監視塔に上がらせてくれたのだが、ビルケナウで、封印列車から降ろされ、選別を前に慄く犠牲者から見える風景と、その様子を見下ろすナチスの親衛隊員の見る風景の両方を見るというのには、複雑な思いがする。アウシュヴィッツへ戻るバスから降りた後、ガイドの方にお礼を言えなかったのが残念。彼女は、何度か『私はメンゲレ医師の助手だった』という本を薦めていた。
 アウシュヴィッツ、ビルケナウと相当に歩き回ってさすがに疲れたうえ、すでに夕方になっていたので、博物館をこれ以上見るのは諦め、バスでクラクフに戻る。帰りは行きより時間がかかって2時間足らず。シートが固くて、座っているのはかなり辛いものがあった。こちらのバスも満員で、椅子からあぶれた人もいる。7時前に駅に着いて、朝食から何も食べていなかったので、ベーグルとプレッツェルの両方の起源に当たるというクラクフ名物のパン、オブヴァジャネークを一つ買い求めて、宿の部屋で食べる。前回これを食べたとき、あごが痛くなるほど固かった記憶があるが、今回はそれほどではなく、ややもちもちとした食感──ベーグル同様、生地を茹でてから焼くのだとか──を楽しめた。
 国際美学会の受付が夜8時までとのことなので、道順の確認を兼ね、会場まで行ってみる。会場のヤギエヴォ大学の新しい講堂には、何人かの参加者が集まっていて、受付の手続きをしていた。受付を済ませ、研究発表のデータをスタッフの方に渡すことができてひと安心。夕食には、宿の近くのセルフ・サーヴィスのカフェテリアのような店で、ピエロギを食べる。ちょうど茹でギョウザのような味だ。皮がかなり分厚いので、食べてているうちにだんだん飽きてくる。宿に戻り、学会受付でもらった資料を確認しているうち、だんだん眠くなってしまった。本当はもう少し発表の準備をしたかったが、明日に回さざるをえない。

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