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クラクフ旅日記:2013年7月20日

 第19回国際美学会での研究発表のためにクラクフへ。出発の朝、徹夜して出かけるつもりでいたが、昨日までの疲れが出たのか、座ったままうたた寝してしまい、危うく寝坊するところだった。何とか2番目のリムジンバスに乗って、7時過ぎには広島空港に到着した。
 広島を7:55に出る成田空港行きの飛行機は、今まではとても小さなIBEX Airlinesの飛行機で、乗るためにいったん外に出て駐機場まで歩かなければならなかったが、いつの間にか飛行機が少し大きなANAのエアバスに変わっていて、出発ゲートから直接に搭乗できるようになっていた。たしかにこちらのほうがいくぶん快適だ。成田経由で海外へ行くニーズが増えたのだろう。
 ほぼ定刻に成田空港に到着し、乗り継ぎ用のセキュリティ・チェックと出国審査を通ってフランクフルト行きの飛行機の出発ゲートへ向かうと、たまたま同じように国際美学会へ向かう友人夫妻が食事をしていて、しばらく話し込む。
 フランクフルト行きの飛行機は、席が窓際で、やはりとても窮屈。どうやらかなり疲れているようで、食事のサーヴィスの前に眠ってしまい、気がついたら周りが食事を終えていた。機内食は、二度目の食事の和食(焼き鯖と十穀米のご飯)が意外に美味しかった。
 機内のオーディオ・プログラムを見てみると、クリスティアン・アルミンク指揮の新日本フィルハーモニー交響楽団による、マーラーの第3交響曲のアルバムが入っていた。来月3日に、この組み合わせによる同じマーラーの第3交響曲の演奏を聴くので、その予習を兼ねて聴いてみる。今から10年ほど前の演奏になろうか。細かいフレージングに至るまで、古典的とも言える様式感を持って彫琢されており、非常に洗練されている印象を受ける。演奏の完成度も高い。ただ、ダイナミクスの付け方や歌い回しの一部にどこか取って付けたようなところがあり、それが時間の密度を薄くしているように思われる。夜の深さを歌う第4楽章の響きには、いっそうの奥行きがほしかった。それに先立つ第2楽章と第3楽章は、非常に美しく仕上っていた。今度の演奏会で、十年の時を経て示されるアルミンクの解釈が、ここからどれほど深化されているか、楽しみである。
 フランクフルト空港には定刻より少し早く到着した。そこから1時間半ほどの乗り継ぎでポーランド航空の飛行機に乗ってクラクフへ。午後8時前のクラクフはまだ明るかった。夕映えの緑が美しい。飛行機のなかで、ずっと読みさしになっていた、Kyo Maclearという人の“Beclouded Visions”という、“Art of Witness”を論じた本を読了。ジャック・デリダの『マルクスの亡霊たち』などを引用しながら、アラン・レネの『ヒロシマ・モナムール』や丸木夫妻の《原爆の図》などについて、興味深い議論を展開しており、とくに後半は勉強になる。comemorationに代わるtransmemorationの概念には潜在力があるのではないか。
 クラクフ空港からは、疲れていたこともあり、タクシーでホテルへ。ホテルは古い民家を改装したアパートメントのような感じで、古い家具が雰囲気を醸し出している。

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