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ヴィーンへの旅:2012年3月28日

 ボッシュの「最後の審判」の祭壇画を見ようと造形芸術アカデミーの美術館へ出かけるが、折悪しくちょうど今日から修復のために見られないとのこと。それ以外の絵はそれほど魅力的ではないが、ライスダールの風景画を、人物像の交じった初期から晩年までいくつか見られたのは嬉しかった。とくに橋のある冬景色の絵は、小さいながらよい作品だと思う。あと見るべきところがあると思われたのは、レンブラントの初期作品くらいだろうか。
 少し南に下って、ナッシュマルクトをのぞいてみるが、オーストリアの人が経営している露店はもうほとんど見られず、トルコ人などが経営する、ファスト・フードを兼ねたものが多い。どうやら観光客向けの市場に変わったようで、客引きの声が煩わしい。オリーブを少し買い求めて出た。昼食は市場のなかの食堂ではなく、近くに見つけたサイゴンというヴェトナム料理屋にて。鶏肉のフォーを食べたが、なかなかよいスープの味。タピオカのデザートも付いて7ユーロ足らずならまずまずだ。
 午後はグラーベンやコールマルクトあたりの街路を散策するが、それにしても観光客が多い。コールマルクトのデーメルで、ザッハートルテを食す。以前は、この甘いケーキにさらに生クリームなんて、と思っていたが、凝縮された甘さのトルテにクリームを付けると、甘味がまろやかになって食べやすい。刺激的なまでに甘いところも一つの魅力ではあるのだけれども。それ以外に、菫の花弁を砂糖漬けにしたものも買い求めた。その後、部屋に帰ってしばらく休んだ。無意識の欲動がじわじわと染み出てくるさまを描くシュニッツラーの掌編を読む。
 夜は国立歌劇場でバレエの公演を見る。演目は、トルストイの『アンナ・カレーニナ』をチャイコフスキーの音楽に乗せてバレエに仕立てたもの。ボリス・エイフマンという人の構成と振り付けによるもので、人物の心理を鋭く抉り出す舞台として、すでに評判で、東京の国立劇場でも取り上げられるとか。チャイコフスキーの音楽からは、弦楽セレナードや「悲愴」や「マンフレッド」の交響曲からの一部、数曲のバレエ音楽などが演奏された。少し粗いところや管楽器のミスが耳に付いたが、オーケストラは迫力のある演奏を聴かせていた。ダンサーのなかでは、アンナと恋に落ちる将校ヴロンスキーを演じた青年が魅力的だったように思う。それにしても、バレエの観客はなぜこうも行儀が悪いのか。カーテンコールで口笛を吹くばかりか、フラッシュをたいて写真を撮る。オペラではそういう客は見かけないのに。
 帰りがけ、劇場の近くのレストランで軽い夕食。焼いたソーセージのほか、ターフェルシュピッツをマリネにした一品を食べるが、これがまずまずの味。店付きの老音楽家がツィンバロンで「さくらさくら」など日本の歌を弾いてくれたが、これは要らないサーヴィスだった。

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