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ライプツィヒ&ドレスデン旅日記:11月4日

 今日から3泊5日でドイツへ出かける。ライプツィヒで知人に会った後、ドレスデンへ行って、当地の聖母教会という歴史的な場所で細川俊夫さんのオラトリオ「星のない夜」が演奏されるのに立ち会うためである。朝の成田空港行きの飛行機を使って、昼のフランクフルト行きに乗り継いだ。全日空のフランクフルト行き、使用機材が新しくなったようで、エコノミー・クラスの椅子にもフット・レストが付いているし、ヴィデオ・モニターも使いやすくなっている。その点は良いのだが、肝心のコンテンツが付いて来ない。相変わらずオーディオのクラシックのチャンネルは、2時間そこらで聴き終わる2チャンネルのまま。この点、クラシック音楽の映像ソフトまで見られるルフトハンザとは雲泥の差だ。機内食もそこそこの味で、量が多過ぎないのは良いものの、到着前の食事会がホットドッグというのには、寂しい思いをした人がいたにちがいない。寝ずに支度をして出て来たので、機内で寝られると思ったし、そのつもりでもいたのだが、どうも熟睡できない。結局、本を読むことにするが、読み始めたドミニク・ラカプラの『アウシュヴィッツ以後の歴史と記憶』がなかなか興味深かった。
 フランクフルトにはほぼ定刻に到着。次のライプツィヒ行きのフライトまでかなり時間があったので、フランクフルトの街へ出て、シュテーデル美術館を訪れることにする。木曜は21時まで開いていると聞いていた。マイン川に架かるホルバイン橋を渡っていると、風が心地よく、また夕焼けも美しい。もうすぐ味わえなくなる秋の気候である。
 シュテーデル美術館は改築中で、現在は離れの建物で、主要な所蔵作品を年代順に展示する、「絵の年代記」展を催していた。1300年代初頭から現在に至る280点の作品が、まさに年代記とともに展示されていて、なかなか見応えがあったが、離れの建物ということもあってか、スペースが狭くてキャプションが壁面に入らず、すべて小冊子にまとめられていたのは、やや見にくかった。
 とはいえ、14世紀の作品から真近で見られるのは嬉しい。ペトルス・クリストゥスの力強くも緻密な描写に心を打たれ、ヤン・ファン・エイクとロヒール・ファン・デル・ウェイデンの聖母子像の静謐さに引き込まれているあいだは、心が満たされる思いだった。今回とくに印象的だったのは、デューラーの祈る女性の肖像と、クィンテン・マセイスの学者の肖像。前者では、堅い志をもって祈る姿が、デューラーの硬質のタッチと見事に調和している。祈る手が光を受けて浮かび上がるところはとくに素晴らしい。後者では、細密な描写が、学者の重みのある、かつどこか人間味を帯びた存在感を浮かび上がらせることに結びついている。背後の風景も美しい。
 この美術館は近代と現代の作品も所蔵していて、なかでもキルヒナーの作品を3点見ることができたのは、非常に嬉しかった。そのすぐ近くに掛かっていたアウグスト・マッケの、抽象的に構成された背景から2人の少女が浮かび上がる絵も、非常に美しかった。フェルメールの学者像に再会できなかったのは残念だったが、もしかすると、ドレスデンで開催されているというフェルメール展で見られるかもしれない。
 もう少しじっくりと見たかったが、飛行機に乗り遅れては大変なので、空港へ戻る。午後10時前の飛行機でライプツィヒへ向かい、空港からさらに電車に乗り換えて、ライプツィヒ中央駅近くのノヴォテルに着いたのは、もう零時過ぎ。丸一日を超える長旅で、さすがに疲れ果てた。

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