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ヴァイマール、ベルリン、クラクフ旅日記I

【成田空港にて】
 広島空港の保安検査が大変な混雑だったせいもあって、およそ10分の遅れで成田空港に到着。それにしても、広島空港のあの混みようはいったい何だったのだろう。「シルバーウィーク」と喧伝された連休のUターンラッシュだろうか。それにしては帰るのが早過ぎる気もしないではない。明日まで使って東京で遊ぼうとでもいうのだろうか。ともあれ、7:35発の二つの東京行きは両方とも満席だったろう。おかげでチェックイン・カウンターの前にも、保安検査場の前にも長蛇の列。もう少し間隔を開けて出発できないものか。チェックインの際に前に並んでいた、シカゴ経由でオハイオの田舎へ遊びに行くというおじさんが言っていたように、6時台から飛ばすことも不可能ではないはずだ。もちろん、そんなフライトに乗るのは個人的には願い下げだけれども。空港職員に申し出なければ、もしかすると成田行きのフライトに間に合わなかったかもしれない。
 さて、これからスカンジナビア航空でコペンハーゲンを経由してベルリンへ飛び、ベルリンに降り立ったら今度は鉄道でヴァイマールへ向かう。ヴァイマール到着は日付が変わって0:45となかなかハードな移動になるが、限られた日程のなかで一日かけてブーヘンヴァルト収容所跡を見て回るためには致し方ないところ。明日はブーヘンヴァルト収容所跡と附設の博物館をしっかり見ることにしよう。ナチズムが、そのイデオロギーにもとづく法が「人間」と認めなかった者たちから、名を奪い、声を奪い、身体を奪い、その果てに生命を奪い去った暴力の現場の廃墟を。この暴力の痕跡を。そして、この暴力の記憶が、今どのように想起され、表象されているのかを。第二次世界大戦後もソヴィエト・ロシアの刑務所として使われたというこの収容所を覆い尽くした暴力の凄惨さに思いをいたすとともに、その暴力の現場だった場所で記憶が、とりわけ集合的な記憶がどのように機能しているのかも見届けてきたい。ヴァイマール市街へ戻った後は、ヴァイマール市電車庫跡に展示されているというレベッカ・ホルンの「ブーヘンヴァルトのためのコンサート」をぜひ見てみたいものである。この記憶の芸術は、ブーヘンヴァルトの名を知る者に、どのような記憶を喚起するだろうか。
 成田空港へ着いてみると、コペンハーゲン行きのフライトは30分の遅れとのこと。おかげで慌てずに金策を整えられたし、コペンハーゲンでの乗り継ぎには十分な時間があるので、旅程そのものに支障はないが、これからの旅の多難を予感させなくもない。どういうことが待ち構えているかわからない──とくにポーランドへは初めてなので、一抹の不安がある──が、まずは気力を充実させなければ。
【コペンハーゲン・カストルプ国際空港にて】
 出発は30分以上遅れたのに、コペンハーゲンに着いたのは定刻の10分も前。追い風に乗ったということだが、それにしても早い。スカンジナビア航空のパイロットは時にこういうことをしてくれる。離着陸もすこぶるスムーズだ。パイロットの技量の水準がかなり高いのだろう。
 そのあたりが変わらないのは嬉しいことだが、機内サーヴィスの水準が下がったことは否めない。それが如実に表われるのはやはり機内食。前回使ったとき、それなりに好印象だっただけに、今回はかなりがっかりとさせられた。昼食に出てきたのは、漬け物の巻き寿司とバッテラを盛り合わせたのを前菜代わりに、和風とも中華風ともつかない中途半端な味の鶏肉の煮込みに、ショッキングなことに幕の内弁当のようなご飯を付け合わせた一皿。夕食は、お決まりの伸びきって固まったそばに、ソースのべっとりついたメンチカツの挟まったサンドイッチ。そしてデザートは、シロップをたっぷり吸った缶詰フルーツに、何とグリコのポッキーときたものだ。凄まじい取り合わせで不味いばかりでなく、野菜不足な上に、食後感が悪い。おまけに、機内のエンターテインメント・プログラムが不具合を起こして、二度もリセットしていたのも、個人的にはほとんど影響を受けなかったとはいえ、印象を悪くしたし、キャビン・アテンダントが概してつっけんどんで、命令口調だったのも感じが悪い。それに、どうも日本人と北欧人とではサーヴィスに差があるように思えてならない。同じ側のデンマーク人には食事が早く供され、しかもメニューに選択の余地があるのはどういうことなのか。
 それから、エコノミー・クラスでは、アルコール飲料は2本までは無料で提供されるが、それから先は有料(1杯につき4ユーロ:約540円)とのこと。機内で大酒を飲むつもりはないので、それ自体はかまわないのだが、何となく印象が悪い。これもコスト削減の一環で、運賃を安く保つための努力としてご理解ください、という言い分なのだろう。昨年の石油高騰に、金融恐慌に端を発する世界的な不況の煽りを食って、スカンジナビア航空がこうしたコスト削減策を打ち出さざるをえなかったのは理解できるとしても、そのしわ寄せが最終的に行き着くのが、経済的な危機に生身で曝されているはずのエコノミー・クラスの乗客であるというのは釈然としない。支払い能力の有り余っているビジネス・クラスの乗客に、それなりの金を払わせて、それなりのサーヴィスを提供すればよい話ではないか。その余裕がないのなら、エコノミー・クラスで出張すればよいことだ。ビジネス・クラスとエコノミー・クラスを隔てる赤いカーテンがいつになく分厚く見えた。
 さて、ベルリンまでのフライトまではあと2時間。予定通りにテーゲルに着いて、無事ヴァイマール行きの特急に乗れるだろうか。空港から中央駅までは、TXLのバスで直行できるようだ。それにしても、このコペンハーゲンの空港、乗り継ぎ先の便のゲート番号が出るのがいつも遅い。

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