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二つの青葉の交響

 広島の中心街にほど近い幟町というところにあるそのフランス料理店を初めて訪れたのは、二年前の誕生日のことだった。すっきりとしたなかにアクセントの利いた魚料理が印象的だったのだが、以来なかなか訪れることができずにいた。気になってはいたのだけれども。
 その店を、今夜誕生日のディナーのために久しぶりに訪れることができたのだった。基本的にあっさりとしたなかでさまざまなアクセントを楽しませる料理を妻と堪能したところである。
 今夜の白眉もやはり魚料理。夏野菜のラタトゥイユにゴマの香りのするイサキのポアレが載った一皿の味がとりわけ印象に残ったのである。
 そこには二種類のソースが添えられていて、一種類はカラメル、もう一種類は青葉の緑のソース。その両者の味をゴマの香ばしさと対照させて楽しむこともできれば、非常にあっさりしたイサキの味のアクセントとしても楽しむことができる。とりわけ面白かったのが青葉のソース。何でも大葉とバジルで作ったとか。そう言われればたしかに、二つの香りのあいだで微妙に揺れ動くかのような香りが漂う。これが実に柔らかなアクセントとして利いていたのだ。
 それを楽しみながら、わが家の庭にも大葉とバジルが茂っているのを思い出した。この両者をミキサーにかけて和風ジェノベーゼのようなパスタを作ったら、この二種類の青葉はどのように交響するのかしらん。
 和風といえば、この魚料理の前に供された冷製のコーンポタージュ、清涼感とこくの共存する一品だったが、どこか和風の味わいも感じとらずにはいられなかった。このレストランのシェフの味づくりは、旬の素材を生かすためだろうか、和風の味にいくぶん傾いている感じはする。
 すっきりとした味を基調としながら、そのなかでさまざまなアクセントも楽しませてくれるこの幟町のフランス料理店、名前は内緒にしておこう。そうした味づくりとの関係を感じさせる名前であることだけは言い添えておきたい。

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