« 美術館二題と「デ・キリコ展」 | トップページ | 「近代」を問いただす新書二題 »

ラーメン二題と「そうめん流し」

 鹿児島への帰省の途中で久留米に立ち寄ったついでに久留米ラーメンなるものも試してみたいと思い、宿の近くの店を探してみた。西鉄久留米駅近くのホテルに投宿したので、その近辺のラーメン屋を探してみたら、見つかったのは「大砲ラーメン本店」。博多のキャナルシティなんかにも店を出している大手の老舗らしい。地元の人はもっとこぢんまりしたいい店を知っているのだろうが、いちげんさんは、バイトの店員の声がうるさく、家族連れも来る店にひとまず腰を落ち着けた次第。とはいえ味が悪いわけではない。
 久留米ラーメンは、わたしが知っているかぎりの博多ラーメンと比べるなら、麺が心もち太くて、スープも少し濃い感じ。屋台なんかでひととおり飲み食いした後に食べるには重いだろうか。それはともかく、「大砲ラーメン」のスープはかなりこくがありながら、辛すぎず、なかなかの味。麺も、眼の前でおじさんが湯に浸けたカゴから麺を天井近くまで放り投げ、それをザルで見事に受ける湯切りの様子を見せられると、なんだか美味しく思われる。これは錯覚なのだろうけど……なかなか食べごたえのあるラーメンであった。
 さて、鹿児島でラーメンというと、ここのところいつも市内の交通局近くの、その名も「らーめん家」という店に行っている。鹿児島のラーメンは、豚骨のスープとはいえ、やや薄めで醤油の味がするものだけれど、ここのスープはやはり薄めながらどちらかというと塩味がまさっている感じ。濃すぎず、食べ飽きない味だ。麺は、久留米に比べても太めである。鹿児島ラーメンにつきものの、もやしと焦がしネギ(店によっては薄切りの木耳も加わる)は入っているし、チャーシューも美味しい。家族経営のこぢんまりとした店である(だから見つけるのは難しい)。
 今回の帰省では、何年かぶりに開聞岳近くの唐船峡のそうめん流しにも行ってみた。竹の樋に一直線にそうめんを流す一般的な「流しソーメン」ではなく、回転式の水槽(当地の特許だそうな)にそうめんをぐるぐる流す「そうめん流し」である。水槽の水が冷たいので──ザルに盛られたそうめんがくっついてしまわないかぎりで──ゆっくり楽しめるし、早く流れる水からでも意外にうまく箸に取れるものである。これとニジマスの塩焼きが当地の名物なのだが、小さいころのわたしは、どちらかというと泳いでいるニジマスを見るのに夢中になっていた。今回も大きくて色鮮やかな一匹に眼を惹きつけられたが、その運命やいかに。
 唐船峡から帰る途中、枕崎の「なぎさ温泉」という銭湯を訪れた。鄙びた感じの、お世辞にもきれいとは言えない温泉であるが、その露天風呂からの景色がすばらしい。枕崎の港とそこから広がる太平洋が一望できる。温泉に浸かりながら水平線を眺められるというわけだ。今回は傾いてきた日を映す水面の色を堪能した。露天風呂から左手を見ると、小高い丘があるのだけれども、その木立のあいだからも水平線をのぞき見ることができる。何とも不思議な光景である。これを裸で眺めていると、ちょっぴり居心地が悪くなる。

|

« 美術館二題と「デ・キリコ展」 | トップページ | 「近代」を問いただす新書二題 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/126937/5560425

この記事へのトラックバック一覧です: ラーメン二題と「そうめん流し」:

« 美術館二題と「デ・キリコ展」 | トップページ | 「近代」を問いただす新書二題 »